急性虫垂炎は大腸のなかの盲腸にある、虫垂という臓器に炎症がおこる病気です。
症状としては、まずはみぞおち部分の痛みや、発熱、吐き気、下痢などがおき、徐々に右下腹部に強い痛みが移動してきます。
ただし、虫垂のある場所は個人差があり、症状も多彩なため、診断が困難な場合もあります。治療が遅れてしまうと、虫垂に穴が空き、お腹の中で膿みや炎症が広がり、重篤になる場合もあるので注意が必要です。
初期の症状では、通常の急性胃腸炎との違いが判断できない場合もあり、胃腸炎と診断を受けた後も経過観察をすることが、大切です。
初期の段階でも、歩いたり、スキップした際に右下腹部に響く場合は注意が必要になります。
診断は主に病歴や身体所見で行い、右下腹部に急に離したときに痛みがつよくなる反跳痛(腹膜刺激兆候=腹膜に炎症のある所見)などが見られる場合が多いです。
その後、他の疾患(憩室炎や大腸癌など、とくに女性の場合は卵巣の炎症や骨盤内炎症症候群など)を除外するためや、その後の治療に必要な虫垂内の糞石の有無や炎症の程度を調べるために、腹部CT検査(可能であれば造影)にて診断をつけていきます。
また、最近では腹部超音波検査での診断も可能になってきており、経時的に経過をおえることや、侵襲の少なさから初期の診断に用いられています。(ただし、病院では最終的にはCTで診断をつける場合がほとんどです。)
治療に関しては主に抗生剤による保存療法と、虫垂切除術が行われます。
症状が軽く、糞石などの虫垂に穴があくリスクの低い患者さんには、保存療法が選択されます。
抗生物質を投与すること、生活指導(基本的に症状がある場合は食事は控えてもらうなど)になります。
ただし治療を行っても、症状が増悪する場合や改善が見られなかった場合は、外科手術へ移行する場合もあります。
また一度炎症が改善しても再発する場合もあり、繰り返す場合には、手術をお勧めすることもあります。
症状が重篤な場合(虫垂に穴があき、膿瘍を形成しているなど)や、症状が繰り返している場合(以前保存療法で軽快したなど)、虫垂内に糞石がある場合(虫垂に穴が空くリスクが高いため)は、外科手術が選択されます。
炎症・症状の程度によって、腹腔鏡手術が選ばれる場合もあります。虫垂炎はその重症度に応じて手術の方法が大きく変わる病気ですので、担当医師としっかり相談をして治療方針を決めることが大切です。